学部の特長
文学部が目指す教育
未来が見通せず、変化が激しい現代社会では、自身の適性を把握しながら主体的にものごとを判断し、自らの学びや生き方をデザインしていける「ライフデザイン力」が重要になります。また変化に対して柔軟に対応し、新しい情報やスキル・価値観などを学びつづける「自律的学習者」としての力も必要です。
文学部では、幅広い分野の学問を、自身の興味・関心や将来の目標にあわせて自由に学んでいくことができます。しかし、多様な選択肢のなかから自分の進むべき道を決めていく過程では、悩みや葛藤が生じることもあります。また学習計画を立てず、好きな科目だけを学んでいくと、体系的な学習ができず、専門力が身につきません。そこで大切になるのが、大学時代の学びを自分自身でデザインしていく力です。
文学部では、メジャー制という学びのしくみを活用し、豊かなコミュニケーションと協働を通じて一人一人が「ライフデザイン力」を向上させ、「自律的学習者」へと成長し、自他共の幸福を築いていける確かな「人間力」をはぐくむ教育を目指しています。
ダブル・ディグリーコース
4年間で2つの大学の学位を取得
中国語ダブル・ディグリーコース
中国語ダブル・ディグリーコース
2年次と3年次の2年間、北京語言大学に留学することにより、創価大学と北京語言大学双方の学士号が取得できる制度です。
躍動する中国で国際感覚を養い、日中両大学の学士号を取得
北京語言大学は、世界共通の中国語検定試験(HSK)を開発した大学で、世界中で使用されている中国語のテキスト監修も行っており、教育部直属の国家重点高等教育機関としても全世界に知られています。北京語言大学には、これまで176か国・地域から15万人を超える留学生が学び、外交官やジャーナリスト、国際企業や金融機関など、数多くの中国発「国際人」を育成しています。あらゆる分野で躍動する中国の経済、文化、学術、教育など、各分野を総合的に学ぶことで得られる国際感覚と高度な語学力、中国語を媒介とした世界中の留学生との交流は、国際舞台で活躍する上での大いなる力になるはずです。
定員
定員10名
スケジュール
1年次 | 4月 | 本コースのガイダンスを開催 履修・学習相談(オリエンテーション) |
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9月中旬 | 選抜試験実施 本コース学生内定 |
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2月下旬 | 北京語言大学へ出発 | |
2年次 | 4月~3月 | 北京語言大学 |
3年次 | 4月~1月 | 北京語言大学 |
1月中 | 帰国(就職活動開始) | |
4年次 | 3月 | 卒業(創価大学・北京語言大学学位取得) |
ダブル・ディグリーコース助成制度
本学の学費を納入することを条件に、北京語言大学の留学費用のうち、申請料、学費および2人部屋宿舎費、海外傷害保険料を1年90万円を上限に助成します。
登録料(800元)、渡航費および食費など生活費は学生負担
留学費用:1年間にかかる費用
申請料 | 800元(16,800円)※1年目のみ |
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学費 | 25,800元(541,800円) |
宿舎費 |
1年目:32,850元(689,850円) 2年目:43,800元(919,800元) |
海外旅行保険料 | 約133,000円 |
合計 |
1年目:1,381,450円 2年目:1,594,600円 |
※レートを1元21円とした場合:学費、寮費は改定される場合があります。
北京語言大学とは
外国人のための中国語教育の最高峰
北京語言大学は、HSK(漢語水平考試)を研究開発した大学でもあり、中国における外国人のための中語教育の最高峰です。これまで176か国・地域の15万人を超える留学生を受け入れてきた教育部直属の国家重点高等教育機関であります。
出身者の活躍も目覚しく、駐日中国大使をはじめ参事官などの外交官は約50人。このほか、ジャーナリストや国際企業、金融関係など、世界と中国を結ぶ数多くの「国際人」を育成してきました。
創立は1962年。留学生が学ぶ唯一の学府「外国留学生高等予備学校」としてスタート。後に、周恩来総理の指示で「北京語言学院」と改名され、キャンパスも充実しました。
2005年5月7日、北京語言大学より、本学創立者の池田大作先生に対し、日本人初の「名誉教授」称号が授与されました。創価大学池田記念講堂で行われた授与式には、北京語言大学の曲徳林学長(当時)一行らが出席しました。
校内・周辺案内
校内設備は大変充実しており、図書館、体育館、屋外体育施設など勉学に必要な施設はすべて揃っています。学生食堂には中華料理のほか日本、韓国、イスラム料理店やカフェなど国際色豊かなメニューを提供しています。
またスーパー、書店、郵便局、銀行・ATM、美容室など学校生活に必要な設備も完備しています。
交通もバス停、地下鉄の最寄り駅などが宿舎から至近距離にあるので、天安門や王府井、北京駅など市内中心にも乗り換えなしで行けます。さらに学校や地下鉄の駅周辺にはデパート、コンビニ、レストラン、ファーストフード店などが豊富にあり、日常生活は日本と変わらないほど充実しています。
本コースをめざすみなさんへ
みなさんへの期待
ダブル・ディグリーコースは、2007年度から文学部で開始されたプログラムであり、実力のある国際人の養成をめざすコースです。
ダブル・ディグリーコースの留学によって身につけた高度な語学力と国際感覚は、将来の就職や大学院進学にも大いに役立つでしょう。日中両国の2大学での学習によって、創立者池田大作先生が築かれた「金の橋」をさらに強固なものにし、日中友好や世界平和に貢献しゆく人材に成長されることを期待しています。
特徴
- 4年間の在学で本学と北京語言大学の2大学の学位を取得することができます。
- 従来の本学の交換・派遣留学などの期間は1年間が普通でしたが、本コースは2、3年次の2年間を北京語言大学で学びます。したがって中国語の語学力も倍増以上の成果が期待できます。
- 2年間の中国の高等教育機関での学習によって、中国の歴史・政治・経済・社会・文化・教育など各分野についても総合的に学ぶことができます。
- 留学中はさまざまな困難に直面すると思います。もちろん日本からも全面的にバックアップしますが、本学は北京事務所を設置しています。北京語言大学からも近いところに位置していますので、気軽に利用や相談ができます。
留学日記
この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの(推薦作品一覧)
Newsで発信している、文学部教員による「この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの」の作品をまとめました。
2022
2022
Newsで発信している、文学部教職員・文学部生による「この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの」(2022)の作品をまとめました。
書籍
平林香織教授推薦:『カブキブ!』1~7 榎田ユウリ (角川文庫)
歌舞伎を見たことがある人、歌舞伎が大好きな人、歌舞伎を見たいなと思っている人、歌舞伎には興味がない人、そんな誰もが、この本を楽しめること請け合いです。主人公は高校生。普通の高校に歌舞伎同好会ができて、歌舞伎部に昇格するプロセスがミステリーテイストでテンポよく描かれています。
伊藤貴雄教授推薦:『国家』(上・下) プラトン著 藤沢令夫訳
「民主制」は常に「独裁制」への危険をはらむ――。この衝撃的なテーゼを説くプラトンの筆致は、SNS時代の今日を予言するかのようなリアリティを持っています。あなたはどう読みますか?
伊藤貴雄教授推薦:『永遠平和のために』 カント著 宇都宮芳明訳
「戦争に飽きようともしない国家元首たち」がいる世界で、「永遠平和」はいかにして可能か? 70歳を超えたカントが、自身の哲学の総決算としてこの人類的課題に立ち向かう姿は、それ自体が一個の偉大なドラマです。
伊藤貴雄教授推薦:『イタリア紀行』(上・下) ゲーテ著 鈴木芳子訳
ゲーテは若き日、政治家として活躍しました。しかし公務に忙殺され、人生の目的を見失いそうになります。ある日、大胆にも公務を放り出し、イタリアへ。この大旅行が文豪を誕生させます。彼と共に心の旅をしませんか?
中堀正洋准教授推薦:『スラヴ吸血鬼伝説考』 栗原成郎著 (河出書房新社
スラヴ文献学の泰斗がフォークロア資料を渉猟し、吸血鬼の起源がスラヴ世界にあることを論究した名著。氏のアカデミズムに裏打ちされた博覧強記ぶりに度肝を抜かれること間違いなし。
中堀正洋准教授推薦:『ロシアの歳時記』 ロシア・フォークロアの会なろうど編著 (東洋書店新社)
主にロシア革命前のロシアの民衆文化を紹介したエッセイ集。衣食住といった民衆の伝統的な生活から、口碑伝承、歳時儀礼、音楽、自然など、テーマは多岐にわたる。どこから読んでも楽しめるが、構成どおり、冬・春・夏・秋の順に読めば、ロシア農村の一年の生活サイクルが理解できる好著。
中堀正洋准教授推薦:『ディカーニカ近郷夜話』 ニコライ・ゴーゴリ著、平井肇訳 (岩波文庫)
ロシアの文豪ゴーゴリが、故郷ウクライナの民間伝承を材に書きあげた幻想的な短編小説集。悪魔や魔女、ルサールカ(水の精霊)などの異形が登場し、文句なしに楽しめるお薦めの一冊。青空文庫で無料で読めます。
中堀正洋准教授推薦:「ヴィイ」(『外套・鼻』に所収) ニコライ・ゴーゴリ著、吉川宏人訳 (講談社文芸文庫)
ヴィイはスラヴ世界における冥界の魔物で、その視線(邪視)によって人を殺める。普段はその眼は大きな瞼と睫毛に覆われていて、悪魔たちの助けがなければ持ち上げることはできない。本作では魔女も小悪魔も登場する。小説を読んだあとは、そのタイトルもおどろおどろしい実写版のカルト映画『妖婆 死棺の呪い(原題ヴィイ)』(1967)を見るもよし。ともに秀逸。
蝶名林亮 准教授 推薦 『風立ちぬ・美しい村』 堀辰雄 (岩波文庫)
ジブリの映画作品で再び注目を集めましたが、日本の夏ということで心に湧いてきた作品です。物語(『風立ちぬ』)中盤の美しい夕暮れの風景をめぐる主人公自身の心理描写が印象に残ります。幸福というものを考えさせられる作品です。
熊田岐子 准教授 推薦:『森の生活(ウォールデン)(上)(下)』 H. D. ソロー著 飯田実訳 岩波文庫
アメリカン・ルネサンス期の思想家エマソンを師としたソローの自給自足生活での思索の書。特に、第3章「読書」をお勧めします。
熊田岐子 准教授 推薦:『「ウォールデン」入門講義』 佐藤光重著 金星堂
ソローの著作『ウォールデン』を解説した書籍。とてもわかりやすくまとめられていて、ソローの思想が整理できます。
熊田岐子 准教授 推薦:『サイラス・マーナー』 ジョージ・エリオット著 土井治訳 岩波文庫
絶望の淵に落ちたサイラスのもとにやってきたエピーとの心温まる物語。イギリス発の「大人のためのおとぎ話」として紹介されています。
熊田岐子 准教授 推薦:『ふしぎの国のアリス Alice’s Adventures in Wonderland【講談社英語文庫】』 Lewis Carroll著 講談社インターナショナル
言わずと知れたアリスの物語。英語原文で触れてみると新たな発見が見つかります。この夏は英語で読了してみませんか。
学生Y. F.さん推薦:『今日の宗教の諸相』 チャールズ・テイラー著 伊藤邦武・佐々木崇・三宅岳史 訳
ウィリアム・ジェイムズの『宗教的経験の諸相』を参照し、宗教が個人レベルだけでなく、共同体、国家レベルで相互に関わり合い作用変容を繰り返してきた歴史を紐解いていく一冊。
学生Y. F.さん推薦:『失楽園(上・下)』 ミルトン著 平井正穂訳
神から自立し己の理性で世界に立ち向かう人間の姿を神、サタン、人間 三つ巴の関係から描き出す大長編叙事詩。サタンとミカエルが衝突するシーンは圧巻。
学生Y. F.さん推薦:『責任と判断』 ハンナ・アーレント 中山元訳
汎用な悪とは自らの思考や判断を停止し他律に盲従することによって生まれる陳腐な悪であるとアーレントは言う。自らの思考で物事を吟味する自律の大切さを教えてくれた良書です。
学生Y. F.さん推薦:『エディット・シュタインの道程 真理への献身』 須沢かおり著
現象学とスコラ学を融合させたエーディト・シュタイン。彼女は激動の時代にユダヤ人キリスト者として信仰を貫きアウシュヴィッツにて殉教しました。人生を賭した彼女の真理への献身の道程を鮮明に描いています。
文学部3年K.M.さん推薦:『黒田如水』 吉川英治 角川書店
主人公はとにかく働いています。大きな構想を実現するために働いています。臆病な人間の裏切りにあっても、奮起する主人公の振る舞いに励まされます。酒の中に真実があることもよくわかる一書です。お勧めです。
文学部3年K.M.さん推薦:『英米文学史講座 第6巻』 福原麟太郎・西川正身監修 研究社
今日の英語に親しむためにも18世紀の英文学は役立ちます。本書で紹介のある作家のうち、一人の著作に触れられると、次に波及して、だんだんと自分の英語が板についてきます。英語に慣れてから他の言語にも進みます。
文学部3年K.M.さん推薦:『権威の概念』 アレクサンドル・コジェーヴ 今村真介訳 法政大学出版局
論理的にはわかりやすく書かれていますが、決して読みやすくはありません。本文と付録を合わせて150頁程度なので、もう一度読むのは楽だと思います。1942年に書かれていて、読んでいて驚く箇所があります。
映像作品
平林香織教授推薦:『魂のまなざし』 アンティ・ヨキネン (映画)
フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの生誕160年を記念して製作された映画です。フィンランドの美しい風景とフィンランド語のどこか懐かしい響き。そんな画面に映し出される魂を描く凜とした姿。見終わったあと背筋をピンと伸ばして深呼吸をしたくなるような佳作です。
森下達 講師 推薦:『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』シリーズ
NHK-BSで放映されたドキュメンタリー。アメリカにおける、1950年代から2010年代までのサブカルチャーの変遷を、政治や経済、社会の動きと関連づけて読み解いていきます。現代史への入門としてもわかりやすく、再放送をしているうちに見ておくと、今後役に立つでしょう。
森下達 講師 推薦:『嵐が丘』 ウィリアム・ワイラー監督 (映画1939年)
風に揺れるヒース、陽光の中そびえる岩肌、稲光によって浮かび上がる顔……。昔の映画を観ると、風景を切り取ることそれ自体が物語上の情感を醸し出す表現なのだと、改めて納得させられます。原作を大きく変えたラストは賛否わかれるでしょうが、ある種のハッピーエンドとして美しいことは間違いありません。
学生Y. F.さん推薦:『ダークナイト』(映画) クリストファー・ノーラン監督・脚本
ゴッサムシティのヒーロー、バットマンの前に現れたのは口裂け男ジョーカー。彼は人のモラル、道徳心、善性をバッドジョークと笑い飛ばす。『俺たちゃコインの表裏の関係なんだ。』人の善性と悪性の極限を描ききった傑作。
学生Y. F.さん推薦:『TENET』(映画) クリストファー・ノーラン監督・脚本
過去の世界へと時を逆行する事が可能となった世界。 それは未来から己が逆行、ひいては己の死体と出会う可能性が実在する世界である。そんな決定論的世界の中で自由は存在するのか?摩訶不思議な映像からノーラン哲学が垣間見える。
音楽
伊藤貴雄教授推薦:『フィデリオ』 ベートーヴェン作曲 (オペラ)
政治犯として囚われた夫を助けようと、妻が男装して牢獄に潜入します。フランス革命期の実話を元にした脚本に、ベートーヴェンが作曲。自由とは?解放とは?愛とは?正義とは? まさに「鳴り響く思想」です。
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2021
2021
Newsで発信している、文学部教職員・文学部生による「この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの」(2021)の作品をまとめました。
書籍
伊藤貴雄 教授推薦:『ドレの神曲』 ダンテ著・ドレ画 谷口江里也訳
今年9月14日はダンテ没後700年。『神曲』の主要部分を、フランスの画家ドレの荘厳でドラマティックな版画とともに楽しんでみませんか。読むというよりも、観る神曲!
伊藤貴雄 教授推薦:『シュリーマン旅行記 清国・日本』 シュリーマン著 石井和子訳
トロイア遺跡を発掘した考古学者シュリーマン。彼は幕末の日本を訪れ、旅行記を残しました。八王子にも一章を割いています。あのシュリーマンがなぜ八王子に? それは読んでのお楽しみ。
平林香織 教授推薦:『天井の葦』上・下 太田愛 角川文庫
作者はTVドラマ『相棒』の脚本家としても活躍。軽快なテンポとあっと驚く急展開によって、読者をぐいぐい牽引。言論の自由と正義について考えさせるミステリー。
平林香織 教授推薦:『言葉の園のお菓子番 見えない花』 ほしおさなえ だいわ文庫
書店員の職を失った失意の主人公が、亡き祖母の趣味だった〈連句〉の世界に足を踏み入れ、立ち直っていくまでを描く。〈連句〉と和菓子のすばらしさが伝わる。
蝶名林亮 准教授推薦:『パラドックス』 中村秀吉 講談社学術文庫
哲学的な問いを本格的に考えたい人に手に取って頂きたい本です。順を追ってじっくり考えながら読むことが求められる一書です。哲学は、われわれが日常的に信じていることから導かれるパラドックスに気がつき、それに対してどう答えるか探究する営みだと思います。
蝶名林亮 准教授推薦:『風の便り』 太宰治 利根書房
太宰治の短編小説集です。青空文庫でも公開されているので読みやすいかもしれません。この本に収録されている「律子と貞子」という短編、自分は太宰の意見に賛成でした。皆さんはどう思われますか・・・?後半に出てくる聖書の一節についても、太宰の意図が気になるところです。
蝶名林亮 准教授推薦:『ハイラスとフィロナスの三つの対話』 ジョージ・バークリ 岩波文庫
哲学にはたくさんの古典がありますが、個人的にお勧めなのがアイルランドの哲学者・バークリです。私は彼が行き着いた結論を受け入れることはできませんでしたが、彼の示した議論には説得力を感じました。そして、「うーん・・・」と唸ってしまいました。このような「うーん、どう考えたらいいのか・・・」と唸ることが、哲学の醍醐味ではないかと思っています。皆さんはバークリの議論と結論、唸らずに受け入れたり拒絶したりできるでしょうか?
蝶名林亮 准教授推薦:100万回生きたねこ 佐野洋子 講談社
ある哲学者は、この本は幸せについての作品だと論評していました。自分は、幸せというよりも、この絵本で描かれているのはこの世界の悲しみであるように感じてしまいました。
フィスカーネルセン・アネメッテ 准教授推薦:'On the Shortness of Life: Life is Long If You Know How to Use It' Essay by the Roman Stoic Philosopher Senaca. (セネカ、中澤務訳、『人生の短さについて 他2篇 (古典新訳文庫) 文庫 』、2017)
As relevant and contemporary as it was 2000 years ago: about how we spend most of our time not living it but occupied by being somewhere else or spending it on unimportant matters.
寒河江光徳 教授推薦:『映画術』 塩田明彦 イースト・プレス
塩田監督がヒッチコックの『映画術』を紐解きつつ、自身の映画技法を種明かしする。特にヒッチコックの『サイコ』の「目」を描くシーンは読み応えがあります。
寒河江光徳 教授推薦:『飛族』 村田喜代子 文芸春秋社( 2019)
谷崎潤一郎文学賞受賞作。ナロトロジー、焦点化の視点からこの作品を読むと面白いかもしれない。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『グラスホッパー』 伊坂幸太郎 (角川文庫、2004年)
映画化もされている、殺し屋達の話。それぞれの人物の視点から物語が進んでいき、最終的に1つに集まる書き方が物語の世界に引き込まれます。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『マリアビートル』 伊坂幸太郎 (角川文庫、2010年)
『グラスホッパー』の世界の数年後が舞台。前作で登場した主要人物も出てきます。『グラスホッパー』同様、伏線や登場人物のエピソードの拾い方が秀逸です。
文学部4年生S.I.さん推薦:『虐殺器官』 伊藤計劃 (ハヤカワ文庫JA、2007)
9.11以降の世界を舞台にしているSF小説で、アニメ映画化もされています。主人公は大規模虐殺を引き起こした主犯の男を追っていく米軍大尉。テロの本質について踏み込んでいく事細かな描写は、読者の想像力を強く刺激します。
文学部4年生Y.K.さん推薦:『思考の整理学』 外山滋比古 (ちくま文庫、1983)
自分から学び自分で考える力を持てというメッセージが伝わる文章です。書かれた時よりも情報社会が発展した今だからこそ、改めて読み直したい内容に感じます。著者による例えや文章の言い回しが面白く、読みやすい一冊です。
文学部4年生A.N.さん推薦:『たゆたえども沈まず』 原田マハ (幻冬舎文庫、2017)
フィンセント・ファン・ゴッホと林忠正の有り得たかもしれない物語を描いているところにわくわくやロマンを感じます。彼らの芸術に対する思いなどが文章からひしひしと伝わり、とても感動したのでオススメです。絵画に興味がある人もない人も引き込まれるストーリーだと思います。
文学部4年生A.H.さん推薦:『リバース』 湊かなえ 講談社文庫(2017年)
中盤からの穏やかな展開に拍子抜けしますが、最後の最後にポンっと真実が告げられ、急に終わって突き放された後の余韻が印象的です。そのあとコーヒーに蜂蜜を入れて飲みたくなります。
映像作品
伊藤貴雄 教授推薦:ヴァーチャル美術館(美術)
ルーヴル、メトロポリタン、エルミタージュ…。世界の美術館はいま、ヴァーチャル鑑賞が可能になっています。「モナ・リザ」も筆のタッチまでわかります。ちなみに、ダ・ヴィンチはこの絵のあちこちに暗号を記しているそうですよ。
平林香織 教授推薦:『ソウルフル・ワールド』 ディズニー/ピクサー制作長編アニメ (ピート・ドクター監督)
魂と心と体の関係について問いかける作品。ジャズピアニストで中学校の音楽教師である主人公が、人生の意味を発見していく。映像と音楽が心にしみわたる。
フィスカーネルセン・アネメッテ 准教授推薦:'I Am Not an Easy Man' (2018) - A French romantic drama on Netflix
This film makes you think about how culturally constructed gender is and the consequences of confining human experience so narrowly to gender norms.
寒河江光徳 教授推薦:『月光の囁き』 塩田明彦監督 (映画)
人を好きになる苦しみがえぐられる。マゾッホの『毛皮を着たビーナス』と比較してみるのも面白いかもしれない。
寒河江光徳 教授推薦:『自由の幻想』(Le Fantôme de la liberté ) ルイス・ブニュエル監督(1974)
シュール・レアリスムとは何かを理解するために必見の作品。
寒河江光徳 教授推薦:『英国式庭園殺人事件』 ピーター・グリーナウェイ監督(1982)
奇妙なプロットと映像的美が結合する。
文学部3年生H.M.さん推薦:『ヘアスプレー』 アダム・シャンクマン監督 (映画・2007年)
1988年に映画化された作品の劇場ミュージカル版の再映画化。人種差別や体型の違いなど現代で考えるべき問題を、音楽を通して楽しく考えられるようなところに感銘を受けました。
文学部4年生M.A.さん推薦:『チャーリーとチョコレート工場』 ティム・バートン監督 (映画・2005年)
とても貧乏な暮らしをしている主人公のチャーリーが、ある日、ウィーリー・ウォンカのチョコレートから、工場へ招待される「ゴールドチケット」を手に入れます。そこで、チャーリーは、様々な子どもと出会い、さらに、ウィーリー・ウォンカと出会ったことで、様々に心が変化していきます。この作品は、ティム・バートン氏の独特な表現と共に、教育的なメッセージが込められている実に素晴らしい作品です。少し不気味な部分もありますが、それ以上に楽しく面白いストーリーなので、オススメです。
文学部4年生Y.T.さん推薦:『ゴースト/ニューヨークの幻』 ジェリー・ザッカー監督 (映画・1990年)
純愛ラブストーリー。殺された男がゴーストになり、その男の婚約者を狙う犯人達に立ち向かいます。霊媒者との関わり合いも実に笑える作品。ラブストーリーとコメディを上手く掛け合わせています。
文学部4年生K.H.さん推薦:『アヒルと鴨のコインロッカー』 中村義洋監督(原作:伊坂幸太郎) 映画・2007年
最後の「神様に見て見ぬふりしてもらおう」というセリフが印象的。序盤のシーンから伏線がちりばめられています。作中で神様とされるボブディランがなぜ神様で、主人公たちは見て見ぬふりをしてもらいたいのか……。最初から最後まで目が離せない作品。
文学部4年生H.G.さん推薦:『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(映画)
とにかく見てほしい。きっとジャック・スパロウのことは“キャプテン”・ジャック・スパロウと呼ばなければ気がすまなくなってしまうと思う。
文学部3年生A.T.さん推薦:『蛍火の杜へ』 大森貴弘監督 (映画・2011年)
夏目友人帳の作者である緑川ゆき原作であり、アニメ「夏目友人帳」のスタッフによって制作されたアニメーション映画です。毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞しました。触れると消えてしまう、人でも妖怪でもない不思議な存在の少年「ギン」と、人間の少女「竹川蛍」との、優しくて切なくて、儚い恋の物語です。見ると二人の姿に胸がぎゅっと締め付けられ、自然と涙が出て感動する作品です。
文学部3年生Y.K.さん推薦:『THE GREATEST SHOWMAN』 マイケル・グレイシー監督 (映画・2017年)
ミュージカル映画なので、観た後の余韻がすごいです。夢に向かって諦めず頑張ろうと思える映画です。
音楽
倉橋耕平 准教授推薦:Public Enemy - Fight The Power (2020 Remix) feat. Nas, Rapsody, Black Thought, Jahi, YG & QuestLove(2020年)
スパイク・リー監督の映画『Do the Right Thing』の主題歌の2020年版。アメリカでBlack Lives Matter運動が広がり、それに応答する形でリリースされた。女性ラッパーも迎えて、名曲が新たな装いでリリースされたわけだが、Public Enemyと女性が一緒に歌うなんて89年には考えられなかったこと。BLMの映像も入っているビデオも秀逸。
倉橋耕平 准教授推薦:あっこゴリラ - ウルトラジェンダー × 永原真夏(2017年)
フェミニストを公言するラッパーあっこゴリラのフェミニズム文化批評感あふれるラップ曲。メジャー1stアルバムの「GRRRLISM」も最新の「NINGEN GOKAKU」もめちゃめちゃいい。新曲「神器 dig it」のテーマは、、、ここでは言えない。が、もちろん圧倒的にフェミニズム。
倉橋耕平 准教授推薦:Moment Joon - Passport & Garcon(アルバム、2020年)
ソウル出身、大阪大学大学院の学生、ラッパーのMoment Joon。日本社会で外国人として生きること、また排外主義が激しくなる昨今韓国人が日本で生きることで受ける差別や蔑視、そしてそれへの抵抗を日本語、韓国語、英語で熱く歌い上げているのが最高にかっこいい。
伊藤貴雄 教授推薦:ヴィヴァルディ作曲『四季』から「夏」
超有名曲ですが、新しい楽しみ方を2つ紹介します。①聴き比べる。演奏者が異なると別の曲に聴こえます。②曲にそえられた詩を読みながら聴く。猛暑をこんなふうに音で描くのか…と思う一瞬だけ猛暑を忘れます。
平林香織 教授推薦:谷山浩子と栗コーダーカルテット『ひろコーダー☆栗コーダー』
NHKみんなの歌の「花さかニャンコ」などで知られる谷山浩子とピタゴラスイッチのオープニング曲の栗コーダーカルテットがコラボ。心が弾むような楽曲満載。
蝶名林亮 准教授推薦:Queen’s Fellows: Yuming 30th Anniversary Cover Album
創価大学といえば八王子。八王子と言えばユーミン。このアルバムはユーミンこと松任谷由実のデビュー30周年を記念して作成されたカバーアルバムです。かなり豪華な顔ぶれがユーミンの名曲をカバーしています。
寒河江光徳 教授推薦:『The Melody at night with you』 Keith Jarrett
アルバム名を直訳すると、「君と過ごす夜に流すメロディー」。キース・ジャレットの名盤です。’I Loves You, Porgy’が有名です。
寒河江光徳 教授推薦:『Kind of Blue』 Miles Davis
マイルス・デイヴィスのバンドがHard of Style に留まらずMode Jazzに移行する過程が窺い知れる。このアルバムに参加したビル・エヴァンスやジョン・コルトレーンがMod of Jazzを進化させたと言われる。
寒河江光徳 教授推薦:『RELAXIN’ WITH THE MILES DAVIS QUINTET’』 Miles Davis Quintet
マイルス・デイヴィス・クインテットのスタジオアルバム、中音域のバラードは日頃の疲れを癒やしてくれるに違いない。
文学部3年生A.T.さん推薦:「PINK BLOOD」宇多田ヒカル
アニメ「不滅のあなたへ」の主題歌です。この曲を聴くと自分には価値があるのだと思え、自己肯定感が高められ、元気が湧いてきます。
文学部4年生Y.K.さん推薦:「Stay Gold」 BTS
Dynamiteで爆発的な人気を得たBTSの日本語曲。いいことばかりじゃない世の中でも私だけの輝きを忘れずに生きて、というメッセージが込められています。
文学部4年生K.H.さん推薦:「硝子の少年」 Kinki Kids
どこか懐かしい曲調です。歌詞のいたるところに「硝子」や「ビー玉」といった表現が散りばめられています。少年が失恋に対して悲しんでいるようですが、歌詞を辿ると、大人になって少年時代の失恋を振り返っているような歌にも聞こえます。
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2020
2020
Newsで発信している、文学部教員による「この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの」の作品をまとめました。
書籍
伊藤貴雄 教授推薦:ヘルマン・ヘッセ著『知と愛』高橋健二訳
ペストが流行する近世ドイツ。芸術を志す青年ゴルトムントは、愛する人々を喪うなかで「生」の意味を模索する。不安と恐怖にみちた時代に、生きる勇気を与えてくれます。
小﨑晃義 教授推薦:川越宗一著『熱源』(2019年下期直木賞受賞作)
明治時代コレラが蔓延し、16万人以上が感染、10万人を超える死者が出ました。そして大国ロシアとの戦争。そんな激動の時代を生き抜いた樺太アイヌの人々の生き様は、コロナ禍の私たちに、今を生きる意味と力を与えてくれます。
森下達 講師推薦:山田風太郎『魔群の通過 天狗党叙事詩』(ちくま文庫、筑摩書房、2011年)(小説)
幕末、水戸は実質的な内戦状態になりました。しんどいことの多いこの時期だからこそ、歴史上の悲惨な体験に目を向けてみましょう。その上で、歴史とは、日本人とは、近代とは何かと考えてくれたら嬉しいです。
森下達 講師推薦:宮崎駿『シュナの旅』(アニメージュ文庫、徳間書店、1983年)(マンガ)
故郷に麦をもたらすために試練に挑む王子シュナ。壮大な世界の描写が素晴らしく、家にいながら冒険の気分が味わえます。マンガにも絵本にもストーリーボードにも見える描き方からは、表現の多様性を感じてください。
西川ハンナ 准教授推薦:「困っている人」 著者 大野更紗
ある日原因不明の病となった作者は難民の研究をしていた大学院生、フィールドワークの対象が自分に。「医者は病気の事は何でも知っている。けれど私が病院に来るまでの困難には」というところに社会福祉活動の意義を感じました。
西川ハンナ 准教授推薦:センス・オブ・ワンダー (1996)著者 レイチェル・カーソン
著者は環境問題の古典ともいうべき「沈黙の春」を著した生物学者です。「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」という言葉に効率や成果を優先する無駄のない道筋では、たどり着けないところがあると教えてくれます。
蝶名林亮 准教授推薦:宮本輝(編)『心に残る物語 日本文学秀作選 魂がふるえるとき』
日本文学の優れた短編が16作品収録されています。「もっといろんな小説を読みたい!」と思わせてくれる名作ぞろいです。井上靖の「人妻」はたった1ページの作品ですが、そこに描かれた物語は多くの読者の心に一生残る強い印象を与えるような気がします。
水谷誠 教授推薦:井上 ひさし『十二人の手紙』(中公文庫)
人は常に未完成の物語を持っているのではないでしょうか。それを小気味よく繋げて、一つの物語にしています。われわれもその一部になったような気分で読んでみると今後いろいろな経験もそうした物語の一部だと思えるのではないかと思います。
水谷誠 教授推薦:富岡 多恵子『当世凡人伝』(講談社文芸文庫)
平凡に生きることはどれだけ難しいか、そしてどれだけユニークなのかを教えてくれる物語が満載です。これらを読むとつまらない人生というのはないのでないかと思わせてくれます。
伊藤貴雄 教授推薦:ショーペンハウアー『幸福について』鈴木芳子訳
対人関係に悩む人への哲学者のアドバイス。近すぎず、遠すぎない、適切な「距離」が大事と説く。「ディスタンス」の時代に響く名言にあふれています。
玉井秀樹 教授推薦:エラスムス『平和の訴え』 (岩波文庫) 1961年
ルネサンスの最も高名な人文主義者とされるエラスムスが、「平和の女神」に託して語る反戦・平和論。
玉井秀樹 教授推薦:トマス・モア『ユートピア』 (中公文庫) 1993年
エラスムスとも親交があったトマス・モアが仮想空間「ユートピア島」訪問記というフィクションを通じて当時の戦争政策を痛烈に批判。
玉井秀樹 教授推薦:草野友子『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 墨子』 (角川ソフィア文庫) 2018年
「歴史に埋もれていた」とされる古代中国において異彩を放つ「非戦論」。
玉井秀樹 教授推薦:宮崎駿『風の谷のナウシカ』(全7巻)徳間書店2003年
映画版のその後を読み進めていくと、文明とは何か、生命の在り方とは何かを考えさせる展開が。
玉井秀樹 教授推薦:浦沢直樹『MASTERキートン』(全12巻)小学館2012年
玉井秀樹 教授推薦:浦沢直樹『MASTERキートン Reマスター』小学館2014年
考古学を志すキートンがSAS(英国特殊空挺部隊)の軍務を経験した後、保険調査員のアルバイトをしながら研究者としての就活を続ける。冷戦期から冷戦後の国際情勢にかかわる事件を描く活劇が展開する中で、研究者(知識人)のあるべき姿、家族の在り方などを考えさせる。
玉井秀樹 教授推薦:朱戸アオ『リウーを待ちながら』(全3巻)講談社2017年
富士山の麓の町で強力な感染症が発生。コロナ禍の今、シミュレーションとして読むこともできる。カミュの『ペスト』を合わせて読むと表題が持つ意味がよりよく理解できる。また、続編にあたる『インハンド プロローグ』(全2巻)、『インハンド』もお薦め。
平林香織 教授推薦:近藤史恵『サクリファイス』(新潮文庫)
同名の名著はほかにもありますが、これは、プロのロードレース・チームの話です。読書歴は半世紀以上ですが、結末にこんなに驚いた作品ははじめてです。そして、読んだあと、長く、長く考えさせられます。
平林香織 教授推薦:村木厚子『あきらめない』(日経ビジネス人文庫)
同名の名著はほかにもありますが、これは、2009年の郵便不正事件で犯人にでっちあげられた村木さんによる、どのように捜査が行われ、収監され、454日間をあきらめずに戦い抜いたか、の記録。勇気をもらえます。
江口満 教授推薦:『戦争と平和』 レフ・トルストイ
ナポレオンのロシア遠征を舞台とした歴史小説。愛、人生、民衆、歴史等をテーマに様々な物語や思想が展開され、興味のある部分だけを読むことも可能。
江口満 教授推薦:『アンナ・カレーニナ』 レフ・トルストイ
貴婦人の不倫・自殺という物語を軸に、トルストイが生涯探求した「生きる意味」について考えさせられる名著。
福谷茂 教授推薦:マンゾーニ『いいなづけ』平川祐弘訳
イタリア文学の傑作。作者の雄渾な筆が描くペスト流行はいまと変わりがありません。災厄の半分は病原体のせい、残りの半分は人間のせいだという感慨が重く残ります。
大西克明 准教授推薦:遠藤周作『沈黙』(新潮文庫)
大西克明 准教授推薦:遠藤周作『深い河』(講談社文庫)
戦後日本における宗教文学の代表作。信仰とは、救いとは、孤独とは何かについて、緊張感ある筆致で描かれている。宗教思想の根源を抉るような読書体験を感じてもらいたい。
守屋三千代 教授推薦:『和菓子のアン』坂本司 光文社文庫 2012/10/11
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働く杏子(アンちゃん)の物語。毎月の和菓子やお客の求める和菓子にまつわる意味を学びながら、様々な問題を解き明かしていきます。既に読んだ学生たちによると「可愛いお話」だそうですが…、この物語は可愛いだけではなく、日本文化の大きな秘密にも迫っていきます。それは何か、ぜひ読み解いてみてください。
守屋三千代 教授推薦:『チームラボって何者?』猪子寿之 マガジンハウス 2013/12/19 (DVD付き)
日本美術史上、大きな驚きをもたらした「チームラボボーダーレス」の世界。日本の絵画が動き出し、踊り出す、その空間に身を置くデジタルアートはどのような発想で創造されたのか、その秘密に迫ります。日本人は古来、絵画に自身の身を置いたかのように絵画を感じ、鑑賞してきました。その意味で、世界中で注目を浴びる「チームラボ」の存在は、現代アートにおいてどう意義づけがなされるのでしょう。あなたはどう考えますか。デジタルアートの体験前か後かを問わず、想像の世界にぜひ遊んでみてください。
成田和信 教授推薦:『苦海浄土 ― わが水俣病』石牟礼道子著(講談社文庫)
ある文芸評論家が「小説と物語の違いは、読んだあとに自分の中で何かが変わるか変わらないかにある」と言っていました。この本を読んだとき、僕の中で何かが変わりました。
山岡政紀 教授推薦:池田大作・張鏡湖対談『教育と文化の王道』第三文明社
生涯を教育に捧げつつ、大陸出身の台湾人として中台両岸の学術交流に尽力した張鏡湖博士(2019年逝去)と本学創立者池田大作先生との深き友情の対談集。日台の未来、中台の未来を展望する創大生必読の書です。
〔参考〕読後記 https://ameblo.jp/yamaokamasaki/entry-12549789962.html
山岡政紀 教授推薦:村田喜代子『龍秘御天歌』
江戸時代の史実に基づく歴史小説。朝鮮半島から九州に強制連行された窯焼きの陶工たち。民族の誇りと日本人として生き抜く葛藤を、夫の葬儀を巡る主人公百婆のドタバタ劇を通してシリアスかつコミカルに描きます。
〔参考〕読後記 https://ameblo.jp/yamaokamasaki/entry-12302681345.html
林亮 教授推薦:雑誌『ユリイカ特集号ーシン・ゴジラとは何か』2011年11月
「ゴジラはなぜ東京を目指すのか?そこに靖国があるから」と語ったユリイカの新ゴジラ評を解き明かしながら、核抑止論と平和の問題、日本が直面する核戦争の危機を、解き明かしていきたい。
林亮 教授推薦:一ノ瀬俊也『昭和戦争史講義ージブリ作品から歴史を学ぶ」人文書院 2018年
林亮 教授推薦:一ノ瀬俊也『戦艦大和講義ー私たちにとって太平洋戦争とは何か』人文書院、。2015年
宮崎アニメが平和を求めている作品であると解釈することは明々白々であろう。宮崎アニメが内包する「反戦の思想」を素直に評価していきたい。
一ノ瀬の2冊は非常に優れた反戦平和の教育書であると考える。『戦艦大和講義』は、敗戦日本の戦後復興に何故「戦艦大和」と「零式艦上戦闘機」の物語が不可欠であったのかを明らかにした書籍であるし、『昭和戦争講義」はジブリ作品に埋め込まれた日本の戦争の歴史をリアルに再現するものである。
林亮 教授推薦:一ノ瀬俊也『飛行機の戦争」
林亮 教授推薦:一ノ瀬俊也『昭和戦争史講義』
林亮 教授推薦:松本零士『戦場漫画シリーズ』
林亮 教授推薦:水木しげる『ああ玉砕』
林亮 教授推薦:『ユリイカー高畠勲の世界』青土社2018年7月
「反戦もの」と位置づけられる機会は少ないが、私の視点から見れば明らかに反戦コミックに位置づけられるのが松本零士の「戦場マンガ」シリーズである。心ならずも、あるいは時代に流されて戦争に巻き込まれてしまった兵士達の物語である。
林亮 教授推薦:高橋透『サイボーグ・フィロソフィー』
映画やアニメが未来を予測する役割を持っていること、そして優れたエンターテイメントの中に未来の人類の姿を描き出し、未来の衝撃に備えることの重要性を論じる。
映像作品
寒河江光徳 教授推薦:『ニュー・シネマ・パラダイス』ジョゼッペ・トルナトーレ監督(映画)
1988年に公開されたイタリア映画。映画監督が恩人の訃報に接し、30年間一度も帰らなかった故郷に戻ることを決意します。映画館で上映される名作のシーンとともに少年時代の記憶が映し出されます。
森下達 講師推薦:『若おかみは小学生!』(高坂希太郎監督、2018年)(映画)
人気児童書のアニメ映画化作品。原作からさまざまな要素を抽出しつつ自由に脚色しており、最後の最後で主人公が抱えていたものが浮き彫りにされる構成が見事です。つらいときに頑張ってしまう人にこそ観てほしい作品です。
西川ハンナ 准教授推薦:チョコレートドーナッツ(2012年 アメリカ)(映画)
養育を放任されている隣室の少年には障がいがあります。その少年を放っておけない同性カップルの物語。「家族」や「普通」ということを考えさせられる作品です。主人公ルディー(男性)の少年に向けられる眼差しはひたすら優しく、慈しみに満ちています。
西川ハンナ 准教授推薦:究極のハピネスを求めて Expedition Happiness(2017年製作のドイツ映画)
どこにも行けなかった夏に是非観てほしい映画です。ドイツ人のカップルが北米を、スクールバスを改良して旅します。気の向くままに旅をする様子を描いています。こんな旅をしてみたい、と思わせるバーチャルな旅の体験を提供します。
坂井孝一 教授推薦:『異人たちとの夏』大林宣彦監督、原作 山田太一
1988年に公開され、同年度の日本の映画賞を総なめにした邦画。故郷の浅草で、幼い頃に死別した父・母とそっくりの夫婦に出会う孤独なシナリオライターの物語です。都会の孤独の中で懐かしさと悲しみと感謝の思いが込み上げてくる名作です。
大西克明 准教授推薦:映画と宗教文化
宗教文化に関連する映画を紹介します。興味のある作品を探してみてください。
https://sites.google.com/site/cercfilms/home?authuser=0
守屋三千代 教授推薦:「杉原千畝」東宝:2015/12/5:監督:チェリン・グラック(DVD有) 出演:唐沢寿明・小雪
第二次世界大戦中、ナチスによる迫害から逃れるユダヤ人たちのため、信念と独断で日本を通過できるビザを発行し、6000人ものユダヤ人を救った外交官杉原千畝を描いた作品です。窮地にある人々を目の当たりにし、自身を傍観者とすることを許さず、最後まで力を尽くした千畝の姿が、ロケ地であるポーランドのたたずまいとともに、深く淡々と語られます。日本とは日本人とはという問いに、一つの答えが与えられるように思います。既に視聴した方も多いことでしょうね。卒業生から後輩に一押し、との声がありました。
守屋三千代 教授推薦:「海難1890」東映:2015/12/5:日本トルコ合作, 企画・監督:田中光敏(DVD有)出演:内野聖陽・ケナン・エジェ・忽那汐里・アリジャン・ユジェソイ
1890年に和歌山県沖で台風のため座礁し大破した、オスマン帝国の軍艦エルトゥールル号。生き残ったトルコ人たちを救出し、軍艦で帰国させた日本人たちと、1985年イラン・イラク戦争で日本からの救援機がなくなり、帰国できなくなったテヘラン在住の日本人のために、飛行機を飛ばしたトルコ人たち。時空を超えた両国の物語が重ねられています。実は、日本での人気に反し、トルコでの反響はいま一つでした。それはある一つの場面に原因があったとか…。映像を楽しみながら、両国の交流に思いを馳せてみてください。
山岡政紀 教授推薦:Buena Vista Social Club(映画)
高い音楽性と豊かな精神性を誇るキューバの音楽バンドに魅せられた米国人ギタリストが彼らを国交正常化前の米国に紹介すべく、NYのカーネギーホールでの公演を大成功させるまでのドキュメンタリー映画です。
小林和夫 教授推薦:映画「家族を想うとき」(2019年)
ケン・ローチ監督が引退を撤回して発表した「私はダニエル・ブレイク」(2016年カンヌ国際映画祭パルムドール)に続く作品。宅配便の不在票のメッセージ「ご不在でした」(Sorry, we missed you)が原題。前作同様、舞台となっているイギリスだけでなく、世界中で深化する新自由主義の社会で生きること、働くことの意味を深く思索できる作品。
林亮 教授推薦:「最後の講義 大林宣彦」2018年3月11日(土)午後9時00分放送 BS1
映画作家、大林宣彦氏。「時をかける少女」「さびしんぼう」などの作品で日本の映画界をけん引してきた。ガンで余命3か月の宣告を受けた映画づくりを志す多くの若者に全身全霊で語った言葉…黒澤明との約束、小津安二郎の東京物語に込めた物語、壮絶な戦争体験…映画に人生をささげた監督のメッセージ。
音楽
蝶名林亮 准教授推薦:Number Girl "SAPPUKEI"
昨年再結成したNumber Girlが2000年の夏に発表したアルバムです。一曲目 "Brutal Number Girl" を今聞くと、こんな時だからこそ自力を信じて進んでやろうと勇気づけられる気がします。ライブには行けませんが、ロックはやはりイヤホンかヘッドホンで大音量で聞きましょう。
伊藤貴雄 教授推薦:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ「月光」「テンペスト」
今年は楽聖生誕250年。重いイメージがありますが、「月光」のように可憐でロマンティックな旋律こそ彼の本領です。「テンペスト」の第3楽章は劇的にして爽快。猛暑を吹き飛ばしてくれます。
伊藤貴雄 教授推薦:アメイジング・グレイス
言わずと知れた名曲ですが、作詞者がかつて関わった黒人奴隷貿易の罪を悔いて作ったことを知ると、また違って聴こえてきます。おすすめはアメリカの名ソプラノ、ジェシー・ノーマンの絶唱。
渋谷明子 教授推薦:カサブタ(千綿ヒデノリ)
『金色のガッシュベル』という少し前のアニメの主題歌で元気が出る曲。コロナに負けずにカサブタだらけになって前に進みましょう!(大人になれない教員より)
小林和夫 教授推薦:The Blue Hearts「情熱の薔薇」
ヒロトが「不変のものはあるのか?」と私たちに問いかける。社会学の学問的世界観を見事に表している曲。PDCAサイクル思考よ、サヨウナラ。
小林和夫 教授推薦:マキシマムザホルモン「鬱くしき人々のうた」
亮君が、自らの体験を歌ったこの曲に救われた人は多い。ダイスケはんの最後のパートの「0.5生懸命にて勝て」にいたる歌詞にふれてほしい。何とやさしい言葉だろうか。ナヲのコーラスも秀逸。上ちゃんのベースで終わるエンディング。「カッケー」の一言。
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